正社員と契約社員の違い


契約社員

契約社員と正社員の違いやそれぞれのメリット・デメリットについて以下に記載します。


契約社員について

契約社員は有期労働契約を結んだ社員を指し、労働基準法でその期間は最長3年、特定の条件下では5年と定められています。多くは1年ごとに契約の更新が行われます。契約の更新がなされずに終了した場合、退職となり新しい職を探さなければならない。しかし、同一企業で5年継続して契約社員として働いた後は、無期雇用への転換が可能です。法的には「有期雇用労働者」と呼ばれ、企業によって様々な呼び方があります。


雇用期間

契約社員と正社員の最大の違いは、契約社員が有期雇用、正社員が無期雇用で定年までの雇用が期待される点です。契約社員は同じ企業で5年以上勤務した場合、無期雇用契約への変更が可能となりますが、それは労働者からの申し出に基づくものです。


給与

正社員は主に月給制で、賞与が支給されることが多い。対照的に契約社員は月給制、時給制、年俸制などの給与形態があり、賞与の有無は企業によって異なります。原則として同一労働同一賃金の考えがあり、不合理な待遇差は許されないが、契約社員の基本給や賞与は正社員よりも低いことが一般的です。正社員は成果に応じて昇進・昇給が期待できるが、契約社員は契約期間中に昇進・昇給はありません。


条件

契約社員と正社員の勤務時間や勤務日は大体同じで、契約社員の場合には特定の条件で勤務時間や日数を設定することもあります。休日や休暇は基本的に同じ条件が適用されますが、有給休暇などでの違いが生じることがあります。勤務地に関しては、正社員は転勤の可能性がありますが、契約社員は基本的に転勤はありません。ただし、契約によっては例外もあるので注意が必要です。


福利厚生

契約社員も正社員と同じく、各種社会保険に加入できます。企業年金にも、条件を満たせば加入が可能です。一方で、正社員は住宅手当や家族手当、交通費、退職金などの待遇を受けることができますが、契約社員はこれらの待遇を受けられない場合が多いです。特に、退職金制度は正社員を対象としており、契約社員には適用されないことが一般的です。


解雇予告

企業は、労働基準法の定めにより、解雇する日の30日前に予告する義務があり、これは正社員と契約社員の両方に適用されます。契約社員は、特別な理由がない限り、契約期間中に解雇されることはありませんが、重大な違反行為がある場合は解雇されることも考えられます。また、有期労働契約の更新をしない場合、特定の条件(3回以上の契約更新や1年以上の勤務)を満たしている場合は、30日前の予告が望ましいとされています。


契約期間中の契約解除

契約社員を期間途中で解雇することは、労働契約法第17条1項に基づき、特別な「やむを得ない事由」がない限り違法とされています。このような事由があると認められる判例はほとんど存在しない。


契約社員のキャリアアップ

契約先の企業が正社員登用制度を持っている場合、正社員への転職が考えられます。正社員登用試験は面談や筆記試験が行われることが多く、上司の推薦が必要なケースが多いです。日常の勤務態度や成果が評価基準となり、総合的に判断されます。ただ、正社員登用の制度が形式的なものである場合もあるので、その企業の登用実績をしっかり確認することが大切です。転職エージェントを使っている場合、制度の実情を聞くことができます。何度も登用試験に合格できない場合、他の企業への転職も考えることがおすすめです。


5年勤務した後に無期雇用契約に変更する

同一企業で契約社員として5年以上勤務すると、無期雇用に変更できます。しかし、給与や昇進の条件は変わらないことがあります。無期雇用に切り替える際、契約内容をよく確認することが必要です。もし新しい雇用条件が過去の経験やスキルに見合っていないと感じたら、他社への転職を検討すると良い待遇が期待できるかもしれません。


契約社員としてそのまま契約延長を続ける

契約社員は、契約更新を選んで働き続けることができ、5年以上の勤務後には無期契約になる可能性があります。ただ、1年の契約期間の場合、5年前に契約が終了することも考えられるので注意が必要です。契約更新は勤務態度や実績に基づくが、企業の事業方針や人材計画の変化により、契約が更新されない場合もあります。日々の努力とともに、企業の状況も考慮することが大切です。


ほかの企業に転職する場合の選択肢

契約社員から正社員に転職するのは、正社員から正社員への転職よりハードルが高いと言われています。契約社員は特定の仕事範囲に限られ、正社員に比べて責任の範囲が狭いためです。正社員を目指す場合は、実績をしっかり積むことが大切です。また、正社員になると勤務地や仕事内容、時間などが変わる可能性が高まるので、その点も理解する必要があります。


契約社員として転職する

契約期間が終わった後、他の企業に契約社員として転職する選択も考えられます。自分の希望に合った条件で働きたい場合や、人気の企業・職種を目指す際には、契約社員の方が採用の敷居が低くなることが多いです。契約社員から入社して経験を積むことで、後に正社員への転職も視野に入れられます。


派遣会社に登録し、派遣社員として働く

派遣会社に登録し、派遣社員として働く方法も考えられます。派遣社員は、自分の希望する仕事内容や働き方を選べるため、ライフスタイルを重視したい人に向いています。一部の派遣会社では、勤務先企業への直接雇用への切り替えのサポートもしています。この場合、勤務態度などが評価されて直接雇用の提案があることもありますが、必須ではありません。


メリット・デメリット


正社員

正社員として働くと、定年までの安定雇用や長期的なキャリア形成、職場の人間関係の安定が期待できます。しかし、担当する仕事の選択や部署異動の自由度は限られ、望むキャリアや職場の人間関係に悩みが生じた際の対応が難しい場合もあります。


契約社員

契約社員は有期雇用のため、働く期間や特定の仕事を選択でき、契約期間終了後には新しい職場への移行も可能です。職場での悩みがあれば、次の場所へ移る機会もあり、5年以上勤務すれば無期雇用への切り替えや正社員登用を目指せます。しかし、契約の更新は保証されず、新しい職場では人間関係を築き直す必要があります。また、特定の仕事に限定されるため、経験やスキルの幅を広げるのが難しく、正社員登用も確約されない点がデメリットです。


収入面でのメリット・デメリット


正社員

長期的な勤務で、勤続期間に応じて有給休暇が増え、6年6カ月以上で最低20日以上の有給休暇が確保されます。また、特別休暇や家族・住宅手当などの福利厚生が提供されることもあり、産育休や介護休暇の取得でライフプランに合わせた働き方が可能です。しかし、休日出勤や残業が求められることや、予期せぬ異動や転勤でライフプランに影響が出ることも考慮が必要です。


契約社員

契約社員は、契約で定めた勤務時間・日数を守ることができ、プライベートの時間を保ちやすいです。残業や休日出勤の要請を断りやすく、趣味や家庭、資格取得の時間も確保しやすいでしょう。異動や転勤の心配もありません。また、福利厚生は正社員と同じものが利用できる場合もあります。しかし、有給休暇の日数が増えない場合や、特別休暇、各種手当の適用外となること、産育休・介護休暇の利用が難しい場合もあるでしょう。


まとめ

いかがでしたか。今回は正社員と契約社員の違いについてご紹介させて頂きました。