【パワハラ】で訴えるといくらもらえるか、必要な証拠、退職後でも訴えられるか


パワハラで訴えるといくら貰える

パワーハラスメントに対する損害賠償額は、具体的な被害内容やその程度によって異なります。法的には、被害者が受けた損害に応じて賠償金が決定されます。具体的な金額は裁判所が判断するため、被害者の訴えが認められた場合に賠償金の額が定まります。また、パワーハラスメントには刑事罰が科せられる可能性もあります。被害者は警察や労働局に被害届を提出することができ、その結果、加害者が有罪となった場合は、罰金や懲役などが科される可能性があります。一方、パワーハラスメントの防止に関する労働安全衛生法によれば、企業にはパワーハラスメントを防止するための措置が求められており、違反した場合には罰則が科せられる可能性があります。したがって、パワーハラスメントに対して訴えることによって得られる賠償金は、具体的な被害内容やその程度によって異なり、法的手続きに加えて、刑事罰や労働安全衛生法に基づく罰則も考慮する必要があります。


判例

個々の事件によって異なりますが、日本の判例においては、以下のような金額が認められる場合があります。


精神的苦痛に対する慰謝料

被害者が受けた精神的苦痛に応じて、数十万円から数百万円程度の慰謝料が認められる場合があります。


会社で精神的苦痛を受けた場合慰謝料はいくらか

会社によっても異なりますが、精神的な苦痛によって受けた慰謝料の額は、一般的には10万円から数百万円程度の範囲内であると言われています。しかし、慰謝料の額は個人の被害状況や裁判所の判断によって大きく異なります。訴訟を起こす場合には、具体的な被害状況や証拠などを弁護士などの専門家と相談し、適切な慰謝料額を求めることが必要です。また、精神的苦痛によって受けた損害賠償には、治療費や失業による損失なども含まれる場合があります。これらの費用や損失についても、具体的な被害状況に応じて個別に評価されます。


給与の不払いや賞与の未払いに対する賠償金

パワーハラスメントによって被害者が給与の不払いや賞与の未払いを受けた場合、その額に応じた賠償金が認められることがあります。


退職に伴う損害賠償金

パワーハラスメントによって退職せざるを得なかった場合、その損失に応じた賠償金が認められることがあります。具体的な金額は、被害者の年収や勤続年数、就職先の状況などによって異なりますが、数百万円から数千万円程度が認められる場合があります。


パワハラの証拠になるもの

パワーハラスメントを訴えるためには、以下のような証拠が必要になります。


証言

被害者自身が、パワーハラスメントを受けた旨を証言することが必要です。証言には、できるだけ具体的に、誰からどのような言動をされたか、いつ、どこで、どのように被害を受けたかなどを明確にすることが大切です。


記録

パワーハラスメントを受けた場合、その旨を記録しておくことが重要です。具体的には、メモを取ったり、メールやLINEのやりとりを保存したり、録音・録画したりすることが有効です。


目撃者の証言

パワーハラスメントを目撃した他の社員などが証言することも、有力な証拠となります。目撃者がいる場合は、証言を得るようにしましょう。


医療証明書

パワーハラスメントによって精神的な苦痛を受けた場合、医療機関での診断書を取得することも証拠となります。

これらの証拠を集めることで、パワーハラスメントを訴える根拠を裏付けることができます。また、証拠が明確であれば、加害者側も和解や示談などで解決することができる場合があります。


パワハラを訴えたらどうなる

パワーハラスメントを受けた場合、訴えた場合の一般的な流れは以下の通りです。


相談

 まずは、労働組合や弁護士、労働局などに相談することが大切です。相談を通じて、自分が受けたパワーハラスメントが違法であるかどうか、訴えるために必要な証拠などを確認することができます。


訴訟の提起

相談の結果、訴訟を起こすことを決定した場合、弁護士などに依頼して訴訟を提起します。訴状を提出することで、裁判所が被害者と加害者の対立を解決するための手続きが開始されます。


証拠の提出

訴訟が進行する中で、被害者は自身が受けたパワーハラスメントを証明するための証拠を提出します。先程も述べたように、証言や記録、医療証明書などが証拠として有効です。


裁判

訴訟が裁判になる場合、裁判官が証言や証拠を確認し、判決を下します。判決によって、加害者に対する賠償金の支払いや、会社側に対する労働環境の改善などが命じられる場合があります。

ただし、訴訟を起こすこと自体が、被害者にとって精神的に大きな負担となることがあります。また、訴訟が解決するまでには、数か月から数年以上かかる場合があるため、弁護士などの専門家に相談した上で、リスクを十分に検討する必要があります。


労働基準監督署は何をしてくれる

労働基準監督署は、労働法令違反の調査・監督、労働紛争の仲裁、労働災害の防止など、労働者の権利保護を目的として設置された行政機関です。パワーハラスメントを受けた場合、労働基準監督署は以下のような支援をしてくれます。


アドバイス

労働基準監督署では、パワーハラスメントについての相談を受け付け、適切なアドバイスを行っています。労働法に関する知識や、パワーハラスメントによる被害を受けた場合の対処方法などについて、相談者に説明し、解決のための手続きを案内してくれます。


調査

労働基準監督署では、パワーハラスメントを受けた場合の調査を行っています。パワーハラスメントが違法であると判断された場合、勤務先に対して是正勧告を行い、パワーハラスメントを取り止めるよう求めます。


仲裁

労働基準監督署は、労働紛争の仲裁を行っています。パワーハラスメントによって労働者と雇用主の間で紛争が生じた場合、労働基準監督署に仲裁を依頼することができます。


罰則

労働基準監督署は、違法行為を行った雇用者に対して、罰則を課すことができます。罰則は、懲戒処分や罰金などがあります。

ただし、労働基準監督署が対応できるのは、労働法令に違反するような明らかなパワーハラスメントの場合に限ります。また、労働基準監督署が行う支援によって、すぐに問題が解決するわけではない場合があります。


パワハラは退職後に訴える事は可能か

パワーハラスメントによって被害を受けた場合、退職後でも訴えることができます。労働者は、被害を受けた時点でパワーハラスメントが違法行為であることが明らかであれば、その時点で訴訟を起こすことができます。ただし、訴訟を起こすにあたっては、適切な証拠が必要になります。パワーハラスメントが明らかであっても、それを立証する証拠がなければ、裁判所はその主張を認めない場合があります。したがって、パワーハラスメントを受けたと思われる場合は、早めに証拠を集めることが大切です。また、退職後に訴訟を起こす場合、訴訟時に求めることができる賠償額は限られます。たとえば、労働者が雇用契約を解除した後に訴訟を起こした場合、慰謝料の請求などが制限される場合があります。詳しくは、弁護士や労働相談窓口などに相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。


具体的な判決例


東京地方裁判所平成24年6月27日判決(労働事件)

この判決では、上司による過剰な労働命令や暴言、侮辱的な態度が、労働者に対するパワーハラスメントにあたると認定されました。


東京高等裁判所平成25年6月27日判決(民事事件)

この判決では、社内での飲み会で上司に暴行され、後遺症を残した被害者に対して、会社が賠償責任を負うという判断がされました。


最高裁平成27年3月25日判決(労働事件)

この判決では、上司が下属に対して、仕事中の飲酒を強要するなど、過剰なパワーハラスメントがあった場合、被害者が自己責任を問われることはないとされました。

これらの判例は、パワーハラスメントについて厳しい姿勢を示しています。また、パワーハラスメントに遭った場合は、労働者には相談する場所や法的な手段があることを示しています。


大阪高等裁判所平成28年3月10日判決(民事事件)

この判決では、上司が部下に対して性的な嫌がらせを繰り返したことが、パワーハラスメントに当たると判断され、会社に損害賠償の責任があるとされました。


東京地方裁判所平成30年9月26日判決(民事事件)

この判決では、上司が部下に対して暴言や脅迫を繰り返したことが、パワーハラスメントにあたると判断され、会社に対して損害賠償請求が認められました。


最高裁平成30年10月4日判決(労働事件)

この判決では、上司が部下に対して無断で残業をさせたり、残業代を支払わなかったことが、パワーハラスメントにあたると判断され、被害者に残業代などの支払いが命じられました。


福岡地方裁判所平成31年12月25日判決(民事事件)

この判決では、上司が部下に対して、業務上必要な情報を伝えなかったことが、パワーハラスメントにあたると判断され、会社に損害賠償が命じられました。この判決では、上司が情報を伝えなかったことによって、部下が業務を遂行できず、精神的な苦痛を受けたと認定されています。
このように、パワーハラスメントは暴言や暴力だけでなく、情報を伝えないことなど、労働者が仕事を遂行する上で必要な支援を受けられない状況を作ることも含まれます。会社や上司は、労働者に対して適切な情報を提供し、必要な支援を行うことが求められます。

これらの事例からも、パワーハラスメントには様々な形態があることが分かります。性的な嫌がらせや暴言、脅迫、無理な残業命令など、会社や上司が取るべき措置を怠ることで、労働者に大きな損害が生じることがあるため、パワーハラスメントに対して適切な対応が求められています。



ハラスメントを受けた場合の対処法


証拠を残す

ハラスメントを受けた場合、どの様な被害にあったかが重要になります。客観的な証拠(録音・証言)等は、どの様な場合にも役に立ちます。先ずは落ち着いて事実関係を整理する様にしてください。いつ、どこで、誰に、何をされたか、目撃者(証言者)は居たか等、詳細に記録を残す様にしてください。


周囲に相談する

ハラスメント問題は我慢すると悪化する可能性があるため、一人で抱え込まず、同僚や上司に相談することが重要です。この様な行動により、加害者が自身の行動を自覚し、問題の解決につながることがあります。


会社の窓口や人事担当者に相談する

上司に相談できない場合は、人事部や社内の相談窓口を利用しましょう。組織は、相談者が不利益を受けないようプライバシー保護に配慮する責任があります。


外部に相談する

社内で解決が難しい場合、全国の労働局や労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーを利用するのがおすすめです。これらの窓口は無料で相談を受け付けており、電話での相談も可能です。


弁護士に相談する

外部機関に相談しても解決しない場合は弁護士に相談するのも一つの方法です。

【労働問題】で【弁護士】を探す・見つける方法


転職する

パワハラが発生する様な会社は、会社の考え方自体も古く、パワハラの認識が無い会社もあります。このため働く環境として適していない可能性があります。ハラスメントをやめさせる行動と並行して転職活動を行うのがおすすめです。

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まとめ

いかがでしたか。今回は、パワハラで訴える場合に必要な証拠等についてご紹介させて頂きました。