【パワハラ】3つの定義と6つの類型、基準、言葉、モラハラとの違い、訴える場合の注意点、上司から受けた場合の対応方法


パワハラ(パワーハラスメント)の3つの定義

はい、パワーハラスメント(パワハラ)は、権力を持つ者がその権力を濫用して被害者を傷つけたり、苦しめたりする行為を指します。以下に、パワーハラスメントの3つの一般的な定義を示します。


日本の労働法におけるパワーハラスメントの定義

「職場において、上司または同僚によって、業務に関連することに限定して、健康または安全を害するおそれを与え、または業務の遂行上、明らかに不当な言動や態度を示すことにより、労働環境を害する行為」


ILO(国際労働機関)のパワーハラスメントの定義

「権力を持つ者またはその代理人が、判断能力や自尊心、自己決定権、尊厳を傷つけ、さらには健康にも悪影響を与えるような、侮辱、脅迫、無視、言葉や行為などを通じて、意図的に行う行為」


米国EEOC(雇用機会均等委員会)のパワーハラスメントの定義

「人種、宗教、性別、年齢、障害、性的指向などの保護された属性に基づくハラスメント、または職場環境を恣意的に不快にする行為」


パワハラの6つの類型と種類

パワーハラスメント(パワハラ)には、以下のように6つの一般的な類型があります。


身体的パワーハラスメント

暴力、性的暴行、暴力的なジェスチャー、攻撃的なポーズ、手紙、ノート、メッセージの送信などを含みます。


精神的パワーハラスメント

威圧的な振る舞い、侮辱、嫌がらせ、噂話、風評被害、嘲笑、恐喝、強制、脅迫、社会的排除などが含まれます。


性的パワーハラスメント

セクシャル・ジョーク、暴言、求愛、セクシャル・フレーズ、身体的な接触、性的ないやがらせなどが含まれます。


非言語的パワーハラスメント

挑発的な目線、しぐさ、物理的なアクション、パフォーマンス、表情、それに伴う精神的苦痛などが含まれます。


経済的パワーハラスメント

賃金未払い、昇進の妨害、独占的な取引、低評価、不当な扱い、契約の不履行などが含まれます。


時間的パワーハラスメント

残業や休暇の妨害、遅刻や欠勤の理由を求められる、業務内容が変更されるなど、労働時間の制限や削減によって、業務上の成果に支障をきたすことが含まれます。

上記のような種類のパワーハラスメントは、個々の状況に応じて多様な形で現れることがあります。また、複数の種類のパワーハラスメントが同時に発生することもあります。


パワハラの可能性がある言葉一覧

以下は、パワーハラスメント(パワハラ)で使用される可能性のある言葉の一部です。ただし、これらの言葉が必ずしもパワハラであるとは限りませんが、それが受け取られる場合があるため、注意が必要です。

・脅迫的な言葉
・侮辱的な言葉
・嘲笑う言葉
・けなす言葉
・侮蔑的な言葉
・威圧的な言葉
・攻撃的な言葉
・否定的な言葉
・軽蔑的な言葉
・非難する言葉
・好ましくない、不適切なあだ名
・暴言
・セクシャル・ジョーク
・性的なコメント
・セクシャル・フレーズ
・身体的な接触
・無視する言葉
・職場での噂話
・優越感を示す言葉
・不当なクレームや文句
・職場での風評被害
・悪口を言う
・社会的排除
・不当な指示や命令
・不当な圧力をかける
・昇進の妨害
・仕事の妨害
・低評価
・重要な情報の隠蔽
・賃金未払い
・不当な扱い
・契約の不履行
・業務上の成果に支障をきたすような業務変更
・休暇や残業の妨害


パワハラの基準

パワーハラスメントの基準は、国や地域によって異なりますが、一般的には以下のようなものが挙げられます。


頻度と継続性

パワーハラスメントは、一度のみの行為ではなく、頻繁に繰り返されることがあります。また、継続的な行為であることもあります。


目的性

パワーハラスメントは、被害者を傷つけ、不快感や苦痛を与えることが目的である場合があります。


権力不均衡

パワーハラスメントは、権力を持つ者が、権力のない者に対して行う行為であることがあります。


影響

パワーハラスメントは、被害者に様々な影響を与えることがあります。例えば、身体的な健康被害、心理的なストレス、職場でのパフォーマンスの低下などです。


同意の欠如

パワーハラスメントは、被害者の同意を得ずに行われることがあります。

これらの基準は、パワーハラスメントの定義や法的取り扱いに影響を与えることがあります。ただし、具体的な基準は、国や地域によって異なるため、特定の状況でのパワーハラスメントがあるかどうかを判断するには、その国や地域の法律やガイドラインに従う必要があります。


パワハラの例

以下に、パワーハラスメントの一例をいくつか挙げます。

・上司が部下に対して、容姿や性格など、仕事に関係のないことを嘲笑う。
・同僚が、自分の考えに反対する同僚を脅迫的な言葉で圧倒する。
・上司が、部下に対して過度な仕事量を与え、短い期間で完了するよう要求する。
・上司が、部下を公開の場で叱責する。
・同僚が、職場内で噂話を広め、その噂話によって他の同僚の評判を傷つける。
・上司が、部下に対して性的なコメントやジョークを言う。
・同僚が、上司や他の同僚に対して差別的な言葉を使う。
・上司が、部下を無視し、コミュニケーションを取らないようにする。
・上司が、部下に対して不当な仕事やタスクを割り当て、その仕事が完了しなかった場合には罰則を与える。

上司が、部下に対して過度な権限を与え、その部下が自分の立場を濫用するようになる。
これらは一例であり、パワーハラスメントは様々な形で表れることがあります。


パワハラとモラハラの違い

パワーハラスメント(パワハラ)とモラルハラスメント(モラハラ)は、いずれも職場や人間関係における問題行動ですが、その性質には違いがあります。パワーハラスメントは、上下関係がある職場や学校、グループなどで、上位の立場にいる人が、下位の立場にいる人に対して権力を乱用し、精神的・身体的な苦痛を与える言動を行うことを指します。例えば、過剰な仕事量や業務上の命令違反、嫌がらせ、暴力や脅迫などが挙げられます。一方、モラルハラスメントは、主にプライベートな関係で起こる問題行動で、自分自身や他人を不安定な状態に陥れるような言動を行うことを指します。例えば、無視されたり、罵声を浴びせられたり、自分が思っていることが否定されたりすることによって、自尊心を傷つけられる場合があります。パワーハラスメントとモラルハラスメントの違いは、状況や関係性にあることが多いです。職場や学校のような上下関係がある場所での問題行動は、パワーハラスメントとして考えられる場合が多い一方、友人や家族など、個人間の関係での問題行動は、モラルハラスメントとして考えられる場合が多いです。


パワハラのグレーゾーン事例

パワーハラスメントには、明確な基準があるわけではなく、グレーゾーンの事例があることがあります。以下は、パワーハラスメントのグレーゾーンとされる事例の例です。職場内で冗談やジョークを言うことが多いが、それが他の従業員にとって不快に感じられている場合。長時間の労働や急な仕事の依頼など、業務上の要求が多いが、それが過度であるかどうかは判断が難しい場合。フィードバックを行う際、従業員に対して厳しい言葉を使うことが多いが、それが適切な評価であるかどうかは判断が難しい場合。仕事上で上司と部下の間にある距離が近く、プライベートな話題を話すことが多いが、それがプライバシーに関わるものであるかどうかは判断が難しい場合。これらの事例は、その状況によっては、パワーハラスメントに該当することがある一方で、該当しないこともあります。パワーハラスメントを防止するためには、個人の判断力やコミュニケーション能力を向上させることが重要です。また、労働者と雇用者双方が、パワーハラスメントに対して適切な対策を講じることも大切です。


パワハラに当たらない事例

以下は、パワーハラスメントに当たらない一般的な事例の例です。

・正当な業務の指示や指導を受ける場合。
・ミスや誤解について、適切なフィードバックを受ける場合。
・意見の相違や議論があった場合、感情的にならずに建設的な意見交換が行われる場合。
・業務上の失敗や問題があった場合、その責任を負うことが求められる場合。

これらの場合は、業務上の指導や指示、フィードバック、意見交換、責任の所在の確認などが、パワーハラスメントには当たらず、正当な業務遂行に必要なものとされます。ただし、これらの行為においても、過度な批判や人格攻撃、セクシャルハラスメントや暴力など、嫌がらせや差別的な言動がある場合は、パワーハラスメントに該当する可能性があります。


パワハラを訴える

パワーハラスメントを受けたと感じた場合、以下のような手続きを行うことができます。


相談先の確認

まずは、自分の所属する職場や業界における相談窓口や、弁護士、労働組合などの相談先を調べ、問題の相談をすることが大切です。


証拠の収集

パワーハラスメントが発生したことを証明するために、具体的な証拠を収集することが重要です。例えば、メールやチャットのログ、会話の録音などが挙げられます。


相手との直接の話し合い

場合によっては、相手と直接話し合うことが必要になる場合があります。その際には、事前に話し合うことが望ましいですが、そのような状況が難しい場合には、上司や人事担当者を交えた話し合いを行うことも考えられます。

労働局や労働委員会への申し立て:話し合いで問題が解決されない場合、労働局や労働委員会に申し立てることもできます。申し立てには、証拠資料が必要となります。


法的手続き

最後に、訴訟を提起することもできます。ただし、訴訟を起こす前には、弁護士の意見を聞くことが望ましいです。

パワーハラスメントを受けた場合には、一人で抱え込まずに、相談先を探して相談することが大切です。



ハラスメントを受けた場合の対処法


証拠を残す

ハラスメントを受けた場合、どの様な被害にあったかが重要になります。客観的な証拠(録音・証言)等は、どの様な場合にも役に立ちます。先ずは落ち着いて事実関係を整理する様にしてください。いつ、どこで、誰に、何をされたか、目撃者(証言者)は居たか等、詳細に記録を残す様にしてください。


周囲に相談する

ハラスメント問題は我慢すると悪化する可能性があるため、一人で抱え込まず、同僚や上司に相談することが重要です。この様な行動により、加害者が自身の行動を自覚し、問題の解決につながることがあります。


会社の窓口や人事担当者に相談する

上司に相談できない場合は、人事部や社内の相談窓口を利用しましょう。組織は、相談者が不利益を受けないようプライバシー保護に配慮する責任があります。


外部に相談する

社内で解決が難しい場合、全国の労働局や労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーを利用するのがおすすめです。これらの窓口は無料で相談を受け付けており、電話での相談も可能です。


弁護士に相談する

外部機関に相談しても解決しない場合は弁護士に相談するのも一つの方法です。

【労働問題】で【弁護士】を探す・見つける方法


転職する

パワハラが発生する様な会社は、会社の考え方自体も古く、パワハラの認識が無い会社もあります。このため働く環境として適していない可能性があります。ハラスメントをやめさせる行動と並行して転職活動を行うのがおすすめです。

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まとめ

いかがでしたか。今回はパワーハラスメントについてご紹介させて頂きました。